顕微鏡視下脊柱管全周除圧術 -小さな切開で早期の社会復帰を目指す。
最近の椎間板ヘルニアの治療
人は一生の内、必ず一度は腰痛を覚えると言います。この原因はいろいろですが、働き盛りの人達の腰痛・坐骨神経痛の最も多い原因は腰椎椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアによる痛み・しびれ等は、腰の骨の間でクッションの役目をしている椎間板が後ろに飛び出して、神経を圧迫して起こっています。
椎間板ヘルニアの多くは保存治療が有効であり、安静、鎮痛剤投与、リハビリ、ブロック治療等で約8割の方は症状が改善し、MRI検査で経過をみると、ヘルニア塊が消失することもあります。
しかし、約2割の方では保存治療の効果はみられず手術治療が必要になります。手術治療として最近当院では顕微鏡をもちいたヘルニア摘出術を行っています。皮膚切開は2~3センチメートル程と小さく、顕微鏡をみながら安全にヘルニアを取ることができます。術後は翌日より歩行を開始し、10日間で退院となります。
椎間板ヘルニアによる神経根圧迫
手術模式図(背中から見た様子)
腰部脊柱管狭窄症の治療
腰部脊柱管狭窄症の手術適応は
- 100メートル続けて歩けない
- 立ち続けることが困難で炊事が苦痛
- 歩行で尿意が出現する
などで、3人に1人の割合で手術が必要になるといわれています。
顕微鏡手術の方法は皮膚を3センチメートル切開し、顕微鏡を用いて明るく拡大された鮮明な術野で、神経を圧迫している骨や靭帯をくりぬくように切除します。手術時間は1時間ほどで、手術の翌日から歩くことができ、入院は2~3週間ほどで済み、家事などは退院した日からできます。
顕微鏡を用いた脊椎手術は、従来の手術と比べて、傷が小さく術後の痛みが少ない、入院期間が短く早期の社会復帰が可能など多くのメリットがあります。
体は健康なのに下肢の痛みやしびれのために満足でききる日常生活が送れない、とお悩みの方にはお勧めできる手術法です。
手術模式図(背中から見た様子)
腰椎の横断像