整形外科

脊椎外科と関節外科の最新の手術を行っており、長崎県内の広域からご紹介を受けています。
手術後に地域包括ケア病棟でのリハビリテーションを通して在宅復帰を目指しています。

重工記念長崎病院の外観 重工記念長崎病院の外観

完全予約制導入のお知らせ

令和5年5月1日より、整形外科の診療は新患・再来とも予約制とさせていただきます。
ご不便をおかけし申し訳ございませんが、ご理解・ご協力のほどよろしくお願いいたします。

特色

当院の特色のひとつといたしまして、急性期病棟と地域包括病棟の併設があります。
整形外科の場合、患者さんの手術は急性期病棟で行い、その後のリハビリ治療は地域包括病棟で長期間行うことができるため、患者さんを一貫して治療することができ、他院へ転院することなく自宅へ退院される方がほとんどであり、患者さんの満足度も高いものと思われます。
また、脊椎圧迫骨折など手術の必要がない患者さんにつきましても、比較的長期間のリハビリ入院治療が可能ですので、地域の診療所の先生方におかれましては、入院治療につきまして、お気軽にご相談いただければ幸いです。

診療の内訳は、整形外科手術件数中、脊椎外科・関節外科と両者で全手術の80%以上を占めており、特に脊椎外科と関節外科に力をいれています。
脊椎外科は95%が顕微鏡下または、内視鏡下手術であり、椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の症例が多く、患者さんの早期社会復帰を目指し、安全かつ低侵襲な手術を行っています。

関節外科の内訳は人工関節、関節形成術、鏡視下肩関節形成術であり、特に最近では肩の症例が増加しており、低侵襲手術と早期リハビリ治療により好成績を収めているほか、 2024年4月より木曜午前にスポーツ外来をはじめています。

また、当院の最近の取り組みの一つに、入院決定後に患者さんに治療に関する説明を行い、患者さんの情報を病棟看護師に引き継ぐ入院コーディネーターや診断書などの書類を作成する医療事務クラークを配置しており、治療の標準化の浸透、医師・看護師の連携強化など様々な効果が認められています。

医師紹介

  • 矢部 嘉浩

    病院長

    矢部 嘉浩

    やべ よしひろ

    1986年入局
    専門分野 脊椎外科
    日本整形外科学会専門医
    日本整形外科学会脊椎脊髄病医
    日本脊椎脊髄病学会指導医
    日本専門医機構 脊椎脊髄外科専門医
    日本医師会産業医
    長崎大学医学部臨床教授

  • 﨑村 俊之

    整形外科部長

    﨑村 俊之

    さきむら としゆき

    専門分野 関節外科
    日本整形外科学会専門医

  • 依田 周

    依田 周

    よだ いたる

    専門分野 脊椎外科
    日本整形外科学会専門医
    日本整形外科学会脊椎脊髄病医
    日本スポーツ協会公認スポーツドクター
    日本脊椎脊髄病学会指導医
    日本専門医機構 脊椎脊髄外科専門医

  • 安達 信二

    安達 信二

    あだち しんじ

    専門分野 脊椎外科
    日本整形外科学会専門医
    日本整形外科学会脊椎脊髄病医
    日本脊椎脊髄病学会指導医
    日本専門医機構 脊椎脊髄外科専門医
    長崎大学医学部臨床教授

  • 水光 正裕

    水光 正裕

    すいこう まさひろ

    日本整形外科学会専門医
    日本整形外科学会運動器 リハビリテーション医

  • 白石 早紀

    白石 早紀

    しらいし さき

    日本麻酔科学会認定医
    日本麻酔科学会専門医
    日本麻酔科学会指導医
    厚生労働省麻酔科標榜医

  • 大宮 俊宣

    非常勤

    大宮 俊宣

    おおみや としのぶ

    日本整形外科学会専門医
    日本骨粗鬆症学会認定医
    日本体育協会公認スポーツドクター

  • 田上 敦士

    非常勤

    田上 敦士

    たがみ あつし

  • 相良 学

    非常勤

    相良 学

    さがら まなぶ

    日本整形外科学会専門医

  • 中添 悠介

    中添 悠介

    なかぞえ ゆうすけ

    専門分野 関節外科
    日本整形外科学会専門医
    日本スポーツ協会公認スポーツドクター
    日本整形外科学会認定スポーツ医
    日本膝関節学会関節鏡技術認定医

診察予定表

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受付時間

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実績紹介

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関節鏡視下手術について

これまで肩関節や膝関節の手術は皮膚を大きく切開する必要があり、患部とは関係のない筋肉などを損傷せざるを得ませんでした。近年、関節鏡手術が発展し筋肉を傷めることなく高度な手術が1センチメートル程度の切開で行えるようになりました。
また、脊椎圧迫骨折など手術の必要がない患者さんにつきましても、比較的長期間のリハビリ入院治療が可能ですので、地域の診療所の先生方におかれましては、入院治療につきまして、お気軽にご相談いただければ幸いです。

傷が小さいためほとんど出血が無く、従来の方法と比べ痛みが少なく術後のリハビリがスムーズに行えるようになり患者さんの負担も小さくなっています。
また、ほとんどの場合、傷は目立たず美容上のメリットもあります。損傷部位を数十倍に拡大して手術を行うため従来の手術より精密な手術が可能となったことも大きなメリットといえます。

  • 関節鏡(直径5ミリメートル)
    関節鏡(直径5ミリメートル)
  • 手術はモニターを見ながら行います
    手術はモニターを見ながら行います

関節鏡で手術できる病気、怪我

腱板断裂、反復性肩関節脱臼、関節唇損傷、インピンジメント症候群、肩関節拘縮など
野球肘、離断性骨軟骨炎など
半月板断裂、前十字靱帯断裂など

肩の関節鏡視下手術

腱板断裂とは?

腱板は肩甲骨と上腕骨をつないでいる腱です。50歳以上になると強度が低下してくるため、転倒や重いものを持ち上げた衝撃で断裂することがあります。多くは外傷後に発生しますが、労働やスポーツなどの影響で大きな外傷がなく断裂する場合もあります。

腱板に断裂がある場合、当院では通常、まず手術を行わずに治る可能性を検討しリハビリを含めた十分な保存療法を行います。しかし保存治療で改善しない場合は、関節鏡を使用して腱板の修復術を行っています。具体的には糸が付いたアンカーと呼ばれる小さなスクリューを骨に固定し、糸で腱板をしっかりと修復します。

小さな傷で手術ができるため、手術後2日ほどでシャワーを浴びたり、リハビリを開始することができます。腱板断裂の治療では術後のリハビリが非常に大切ですが、当院ではノルウエー製の特殊器具を使用するなどの工夫を行い、痛みができるだけ少なくかつ肩関節機能の早期改善を目指したリハビリを実践しています。

  • 手術前のMRI腱板が切れている
    手術前のMRI腱板が切れている
  • 手術後のMRI腱板が修復されている
    手術後のMRI腱板が修復されている
  • 関節鏡で見た腱板断裂部 腱板が骨から剥がれている
    関節鏡で見た腱板断裂部
    腱板が骨から剥がれている
  • 手術後の様子 腱板が骨に固定されている
    手術後の様子
    腱板が骨に固定されている

反復性肩関節脱臼とは?

脱臼がくせになり、ちょっとしたことで何度も脱臼することを言います。

どこが傷んでいるの?

肩関節はもともと脱臼しやすい構造をしています。
脱臼しないように関節唇という防波堤や関節上腕靭帯という靭帯で支えていますがスポーツ中の外傷などで肩の脱臼が起こり、この関節唇や靭帯を傷めてしまうと脱臼しやすくなります。

  • 関節唇を修復したところ(関節鏡で見た画像)
    関節唇を修復したところ(関節鏡で見た画像)

放置すると脱臼に伴って骨が削れるため、将来、変形性関節症になる場合があります。
手術では、アンカーを骨に挿入し糸で関節唇や靭帯を骨にしっかりと固定させます。

手術は全て関節鏡視下に行うため傷は5ミリメートルの傷が2~3か所のみです。2日後にはシャワーやリハビリが可能となります。就労・就学は数日後には可能となります。関節唇がしっかり安定するために3~6ヶ月かかりますので軽いスポーツの復帰には3ヶ月かかります。

  • 反復性肩関節脱臼をMRIで見たところ。
    反復性肩関節脱臼をMRIで見たところ。矢印は、はがれた関節唇です。
    (右)MRI写真の患者さん 肩を前に押すと脱臼しています。
  • 術前:MRI骨頭が前方に脱臼している
    術前:MRI骨頭が前方に脱臼している
  • 術後:骨頭は正常の位置に戻っている
    術後:骨頭は正常の位置に戻っている

膝の関節鏡視下手術とは

当院では、関節鏡を使用した膝の手術を行っています。
傷が小さいためほとんど出血が無く、従来の方法と比べ痛みが少なく術後のリハビリがスムーズに行えるようになり患者さんの負担も小さくなっています。

前十字靱帯再建術

前十字靱帯とは膝関節内の大腿骨と脛骨をつなぐ靱帯であり、スポーツなどの外傷により、前十字靱帯が断裂すると膝関節のグラグラ感や、膝折れなどの不安定感が生じます。
活動性が低い中高年者では保険治療を行いますが、活動性が高い若年者では、不安定なまま放置しておくと、将来的に変形性膝関節症になる可能性が高いため、前十字靱帯再建術を行います。

  • 左: 正常前十字靱帯、右: 前十字靱帯が消失している
    左: 正常前十字靱帯(矢印)
    右: 前十字靱帯が消失している

当院では、関節鏡視下に膝蓋腱を用いた再建法とハムストリング腱を用いた2重束再建法を症例に応じて行っています。

  • ハムストリング腱での前十字靱帯2重束再建
    ハムストリング腱での前十字靱帯2重束再建

半月板切除・縫合術

半月板は膝関節内の大腿骨と脛骨の間にあるクッションとスタビライザーの働きをする軟骨であり、スポーツなどの外傷や、加齢変化による変性によって損傷が生じることがあります。半月板が損傷されると、曲げ伸ばし時の痛みや、引っ掛かり感が生じたり、関節液がたまったりすることもあります。保存治療を行っても症状が持続する場合、当院では半月板損傷に対して関節鏡視下に半月板の部分切除術もしくは、縫合術を行っています。

  • 半月板縫合術 断裂半月板を糸で縫合する
    半月板縫合術 断裂半月板を糸で縫合する

全ての手術は関節鏡視下に行われるため術後は翌日から歩行が可能で数日の入院で済みます。縫合した場合は縫合部がしっかり癒合してからスポーツ復帰となります。

変形性膝関節症に対する手術とは

変形性膝関節症は関節軟骨の老化により生じることが多く、外傷、感染などの後遺症によっても生じることがあります。関節軟骨が弾力性を失い、軟骨が摩耗し、関節が変形をおこします。初期では立ち上がり時、歩き始めの痛みが生じ、徐々に安静時痛や、膝の伸展制限、内反(もしくは外反)変形が生じてきます。
当院では変形性膝関節症に対し、骨切り術もしくは人工膝関節置換術を行っております。

骨切り術

変形している膝関節のアライメントを整える手術です。
中等度の関節の変形で比較的若年者の方が適応となります。
当院では、全国的に広く行われている高位脛骨骨切り術(HTO)や、長崎大学で考案された脛骨顆外反骨切り術(TCVO)、大腿骨遠位骨切り術(DFO)など、症例に応じて使い分けて行います。

  • 左:術前 点線を骨切りし開大、右:HTO術後 開大部に人工骨を骨移植し、プレートで固定する
    左:術前 点線を骨切りし開大
    右:HTO術後 開大部に人工骨を骨移植し、プレートで固定する
  • 左:術前 点線を骨切りし開大、右:TCVO術後 開大部に人工骨を骨移植し、プレートで固定す
    左:術前 点線を骨切りし開大
    右:TCVO術後 開大部に人工骨を骨移植し、プレートで固定する

人工膝関節置換術(TKA)

重度の関節変形の方に対して、行っております。
大腿骨、脛骨の摩耗した関節軟骨を切除し、金属の人工関節に置換する手術です。
関節のアライメントを改善し、不安定性を取り除くことにより、痛みが軽減し歩きやすくなり生活の質の改善が見込めます。

  • 左:術前 重度の内反変形 点線間の骨を切除、右:術後 人工関節置換術後
    左:術前 重度の内反変形 点線間の骨を切除
    右:術後 人工関節置換術後

小さな切開で早期の社会復帰を目指す。

最近の椎間板ヘルニアの治療

人は一生の内、必ず一度は腰痛を覚えると言います。この原因はいろいろですが、働き盛りの人達の腰痛・坐骨神経痛の最も多い原因は腰椎椎間板ヘルニアです。椎間板ヘルニアによる痛み・しびれ等は、腰の骨の間でクッションの役目をしている椎間板が後ろに飛び出して、神経を圧迫して起こっています。

椎間板ヘルニアの多くは保存治療が有効であり、安静、鎮痛剤投与、リハビリ、ブロック治療等で約8割の方は症状が改善し、MRI検査で経過をみると、ヘルニア塊が消失することもあります。
しかし、約2割の方では保存治療の効果はみられず手術治療が必要になります。手術治療として最近当院では顕微鏡をもちいたヘルニア摘出術を行っています。皮膚切開は2~3センチメートル程と小さく、顕微鏡をみながら安全にヘルニアを取ることができます。術後は翌日より歩行を開始し、10日間で退院となります。

  • 椎間板ヘルニアによる神経根圧迫
    椎間板ヘルニアによる神経根圧迫
  • 手術模式図(背中から見た様子)
    手術模式図(背中から見た様子)

腰部脊柱管狭窄症の治療

腰部脊柱管狭窄症の手術適応は

  • 100メートル続けて歩けない

  • 立ち続けることが困難で炊事が苦痛

  • 歩行で尿意が出現する

などで、3人に1人の割合で手術が必要になるといわれています。
顕微鏡手術の方法は皮膚を3センチメートル切開し、顕微鏡を用いて明るく拡大された鮮明な術野で、神経を圧迫している骨や靭帯をくりぬくように切除します。手術時間は1時間ほどで、手術の翌日から歩くことができ、入院は2~3週間ほどで済み、家事などは退院した日からできます。

顕微鏡を用いた脊椎手術は、従来の手術と比べて、傷が小さく術後の痛みが少ない、入院期間が短く早期の社会復帰が可能など多くのメリットがあります。
体は健康なのに下肢の痛みやしびれのために満足でききる日常生活が送れない、とお悩みの方にはお勧めできる手術法です。

  • 手術模式図(背中から見た様子)
    手術模式図(背中から見た様子)
  • 腰椎の横断像
    腰椎の横断像

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